Goze-Ko あたりまえのダンス

IMG_8921

目かくしをして踊る。
どこかにぶつかりそうなら、誰かに声をかけて方向を示してもらう。
かまぼこアートセンターの展示物に倒れ込まないよう、
視覚以外の自分の感覚を研ぎ澄ましながら、
少しだけ鑑賞者にも助けてもらうシステム。

作家コメント

2010年からまつだいを何度も訪れ、その中でこの地域の歴史をたどってきました。

春は山菜、灼熱の夏、収穫の秋は短く、豪雪にのみこまれる冬。
大人の中でも特に上手なひとがこどもたちに古くから伝わる物語を語ってきかせてくれます。

かつては瞽女と呼ばれる盲目の旅芸人が毎年訪れては、新しい情報をもたらしてきました。
この地方特有の、盲目女性の職業の選択肢であった瞽女さんの存在。
組織を確立し、厳格な生活習慣のもとにグループで旅を続け、門付で唄い演奏する。
まつだいの人々は彼女達が毎年やって来ることを心から待ち望み、尊い存在として自分たちのところへ迎え入れることを喜びとしていました。

あの山につもった雪が溶けて、馬の形になったら苗を蒔く時期。
あの鳥が鳴いたら、田植えをする。
この虫が多くなると、不作の年になる。
雲の形や動きで天候を見る。
大雪になる前には必ずあの空もようが見える。
方角を見て建物の位置をきめる。
夏は生野菜を、冬は根菜を食べる。

時代とともに、「情報」の捉え方、合理性が変化していく。
指先や音声ひとつで必要な知識が得られ、そのために必要な時間もどんどん短くなってきて、忙しい現代を生きる私たちが本来備えている運動や思考の連動によるはたらきは益々不要になってきて、鈍感力が流行病のようにはびこる。

私自身が長年ダンスを通じて身体と関わってきたからこそ「当たり前」は、他者にとってとても伝わりにくいものだと感じます。
それなら実際に体験してもらった方が早いと、瞽女さんたちの旅した道のりを、目を閉じて歩いてみるワークや、グループで目を閉じたまま動くワークなどを行ってきました。
今回はその伝わりにくい感覚的な部分に焦点を当て、言葉として一旦外に出した上で、踊りに変換してみたいと思います。